アッシジの聖フランシスコの祝日
アッシジの聖フランシスコ
基本情報
歴史的背景と由来
聖フランチェスコ(アッシジのフランチェスコ、1181年または1182年頃~1226年)は、イタリア中部ウンブリア地方の都市アッシジに生まれた修道者である。裕福な商人の家に育ったが、回心後は清貧と奉仕の道を選び、貧者や病者、社会から疎外された人々に寄り添った。1209年頃に小さき兄弟会(フランシスコ会)の基礎を築き、自然界を神の被造物として敬う思想と、平和、兄弟愛、貧しい人々への連帯を説いたことで、イタリアを代表する宗教的人物となった。
フランチェスコは1226年10月4日にアッシジ近郊で亡くなり、1228年に教皇グレゴリウス9世によって列聖された。その命日である10月4日が「聖フランチェスコの祝日」となり、カトリック教会では記念日として祝われる。イタリアでは聖カタリナ(シエナのカタリナ)とともに国の守護聖人とされるが、この日は全国一律の法定休日ではない。2026年は没後800年に当たり、アッシジやフランシスコ会関係地では、平和、環境保護、貧困への取り組みを改めて考える節目の年となる。
伝統、習慣、お祝いの方法
祝日の中心は、アッシジの聖フランチェスコ大聖堂をはじめ各地の教会で行われる荘厳なミサや祈りである。前日の10月3日夜には、フランチェスコの死を記念する「トランジトゥス(帰天)」の式典が営まれることも多い。大聖堂や修道院では、聖人の生涯を描いたジョットやチマブーエのフレスコ画を訪ねる巡礼、宗教音楽、講演、平和や貧困救済をテーマにした慈善活動などが行われる。
フランチェスコが動物や自然を慈しんだ伝承にちなみ、10月4日前後には教会や広場で犬、猫、鳥などの動物を連れて行い、司祭から祝福を受ける習慣が広く見られる。学校や自治体では、清掃、植樹、環境教育、動物福祉の催しが開かれる場合もある。食卓ではウンブリア地方の素朴な郷土料理、豆類、パン、オリーブオイル、季節のブドウや栗などが楽しまれるが、全国共通の専用料理があるわけではない。挨拶には「Buona festa di San Francesco(聖フランチェスコの祝日をお祝いします)」や「Pace e bene(平和と善を)」が用いられ、後者はフランシスコ会に伝わる代表的な挨拶である。