諸聖人の日
トゥッティ・イ・サンティ
基本情報
歴史的背景と由来
イタリアの諸聖人の日(Ognissanti、またはTutti i Santi)は、毎年11月1日に祝われるカトリック教会の重要な祭日で、イタリアでは国民の祝日にあたります。すでに古代キリスト教世界では殉教者を記念する習慣がありましたが、すべての聖人を一括してたたえる祝日は、8世紀頃に西方教会で定着しました。ローマでは、パンテオンが609年に聖母マリアとすべての殉教者にささげられたことも、この祝日の発展と深く関係しています。その後、フランク王国の時代を経て西欧全体に広まり、教会暦の中で現在の11月1日に固定されました。
この日は、教会によって公式に列聖された聖人だけでなく、神への信仰と善行のうちに生きたすべての聖人を記念する日です。イタリアでは「死者の日」にあたる11月2日の逝去者記念日(Giorno dei Morti)と密接に結び付いており、11月1日から2日にかけて、聖人への感謝と故人への追悼を続けて行う家庭が少なくありません。宗教的な意味に加え、家族が集まり、故郷の墓地を訪れ、秋の深まりを感じる時期の国民的行事としても定着しています。
伝統、習慣、お祝いの方法
諸聖人の日には、各地の教会でミサが行われ、信者は聖人の生涯を振り返りながら祈りをささげます。多くの家庭では、前後の日に墓地を訪れて墓石を清掃し、菊(イタリア語でcrisantemi)や季節の花、ろうそくを供えます。墓地を花で美しく飾る習慣は特に広く見られ、故人を身近に感じ、家族の記憶を次世代へ伝える機会にもなっています。都市部から出身地へ帰省する人も多く、祝日を利用した家族の集まりが重視されます。
食文化は地域差が大きく、秋の栗、かぼちゃ、豆類、ワインなどを使った料理や菓子が食卓に並びます。ロンバルディア州の「パン・デイ・モルティ(死者のパン)」、シチリアの「フルッティ・ディ・マルトラーナ(マジパン菓子)」など、死者や聖人を記念する時期に食べられる郷土菓子も知られています。挨拶としては「Buona festa di Ognissanti(諸聖人の日をお祝いください)」や、より簡潔に「Buon Ognissanti(よい諸聖人の日を)」と声を掛けることがあります。地域によっては翌11月2日の追悼行事と一体化しているため、華やかな祝祭というより、祈り、花、家族の再会を中心とした静かな祝日として過ごされるのが一般的です。