真実と和解の国民の日
真実と和解の国民の日
基本情報
歴史的背景と由来
カナダの「真実と和解のための国民の日(National Day for Truth and Reconciliation)」は、毎年9月30日に設けられている国民的な追悼・学習の日です。先住民の子どもたちを家族やコミュニティから引き離し、寄宿学校(Indian Residential Schools)で同化教育を受けさせた制度の歴史と、その後世に及ぶ影響を記憶することを目的としています。寄宿学校制度は19世紀から20世紀後半まで続き、言語、文化、信仰、家族とのつながりを奪う政策の一環として機能しました。多くの子どもたちが虐待や劣悪な環境を経験し、学校で亡くなった子どもたちもいました。
この日は、カナダの真実と和解委員会(Truth and Reconciliation Commission)が2015年に公表した「行動要請(Calls to Action)」の第80項を受け、2021年に連邦法上の国民の祝日として制定されました。9月30日という日付は、かつて「オレンジシャツ・デー」として先住民の子どもたちへの連帯を示してきた日に由来します。2013年、先住民女性フィリス・ウェブスタッド(Phyllis Webstad)が、寄宿学校に入学する際に祖母から贈られたオレンジ色のシャツを学校で脱がされた体験を語ったことが、オレンジ色を象徴とする運動の広がりにつながりました。2026年も、この日は祝賀というより、喪失を悼み、証言に耳を傾け、先住民との和解に向けた責任を考える機会と位置づけられます。
伝統、習慣、お祝いの方法
この日の代表的な慣習は、オレンジ色のシャツやリボンを身につけることです。「Every Child Matters(すべての子どもが大切)」という言葉が広く掲げられ、学校、自治体、企業、博物館などでは、先住民の歴史や寄宿学校制度を学ぶ講座、講演、展示、映画上映、読書会が開かれます。参加者は、オレンジ色の服を着るだけでなく、真実を学び、先住民の語りや文化に敬意をもって耳を傾けることが求められます。
地域によっては、先住民の長老や知識保持者による祈り、歓迎の儀礼、太鼓や歌、伝統舞踊、追悼行進、ろうそくを灯す集いなどが行われます。行事の形式や食文化は、ファースト・ネーション、イヌイット、メティの各コミュニティによって異なり、地元の主催者の指示と文化的慣行を尊重することが大切です。公共機関などで用いられる表現には「Every Child Matters」や「We remember(私たちは記憶します)」、「We are committed to reconciliation(私たちは和解に取り組みます)」などがありますが、定型的な祝賀の挨拶よりも、追悼、学習、行動への決意を示す言葉がふさわしい日です。