聖金曜日
ビエルネス・サント
基本情報
歴史的背景と由来
フィリピンのグッドフライデー(聖金曜日、Biyernes Santo)は、イエス・キリストの受難と十字架上の死を記念するキリスト教の重要な祝日です。2026年は4月3日に当たり、復活祭前の聖週間(Semana Santa)に含まれます。フィリピンでは国民の祝日として扱われ、官公庁や多くの企業が休業し、各地で宗教行事を中心とした静かな一日が過ごされます。
その信仰と行事の基盤は、16世紀以降のスペイン統治期に広まったローマ・カトリックにあります。先住民社会の慣習や地域文化と結び付きながら、受難劇、聖像行列、朗誦など独自の形へ発展しました。聖金曜日は華やかな祝祭というより、断食、祈り、悔悛、家族との内省を重んじる日であり、フィリピンの宗教文化と共同体意識を象徴する国民的行事となっています。
伝統、習慣、お祝いの方法
この日は教会で「主の受難の祭儀」が行われ、聖書の受難朗読、説教、十字架の崇敬、聖体拝領などが中心となります。地域によっては、イエスの受難を描いた「パバサ(Pabasa ng Pasyon)」を昼夜通して歌い唱え、聖母マリアや十字架、亡くなったキリストを表す「サント・エンティエロ(Santo Entierro)」の聖像を担ぐ行列も行われます。特にマニラ、ブラカン、リサール、パンパンガなどでは、精巧な聖像を用いた行列が知られています。
敬虔な信徒の中には、肉食や娯楽を控え、教会を巡る「ビシタ・イグレシア(Visita Iglesia)」を行う人もいます。パンパンガ州など一部地域では、悔悛の表現として自らをむち打つ行為や、十字架への磔刑を再現する人々が知られていますが、これはカトリック教会が公式に推奨する典礼ではなく、地域的な民間信仰です。街路は普段より静まり、テレビ番組や商業活動が縮小されることもあります。挨拶には英語の「Blessed Good Friday」や、フィリピン語の「Mapagpalang Biyernes Santo(恵み深い聖金曜日を)」など、祝賀的というより祈りと慰めを込めた表現が用いられます。断食を行う人は肉料理を避け、魚、野菜、米を使った簡素な食事を取るのが一般的です。