諸聖人の日
諸聖人の日
基本情報
歴史的背景と由来
スペインの諸聖人の日(Día de Todos los Santos)は、毎年11月1日に祝われるカトリックの祭日で、すべての聖人と、信仰のうちに生きた名もなき聖人をたたえる日です。その起源は初期キリスト教における殉教者の記念日にさかのぼり、8世紀にはローマ教皇グレゴリウス3世が聖人を祝う日を設け、9世紀に11月1日として西方教会全体に定着しました。スペインでは国民的な宗教行事・追悼行事として発展し、2026年は11月1日(日)に当たります。地域によっては、日曜日と重なる祝日の扱いとして翌11月2日(月)を振替休日とする場合がありますが、実際の休日運用は自治州や自治体の定めによって異なります。
この日は、翌11月2日の「死者の日(Día de los Fieles Difuntos)」とも深く結びついています。諸聖人の日が聖人全体への栄誉を中心とするのに対し、死者の日は亡くなった家族や信者を祈念する日です。現代のスペインでは両者の境界が生活習慣の中で重なり、家族が墓地を訪れて故人をしのび、墓を花で飾る静かな追悼の日として広く認識されています。ハロウィンと同時期に行われますが、スペインの伝統的な諸聖人の日は、仮装よりも祈り、家族、記憶、墓参を重視します。また、各地ではこの時期に演劇『ドン・フアン・テノーリオ』を上演する文化的慣習も根づいています。
伝統、習慣、お祝いの方法
代表的な習慣は、家族そろって墓地を訪れ、墓石を清掃し、菊などの生花や花束、ろうそくを供えることです。墓地は色鮮やかな花で満たされ、故人の思い出を語りながら祈りをささげます。教会ではミサが行われ、鐘の音とともに聖人や亡くなった人々を記念します。家庭や地域によっては、故人の写真を飾ったり、親族が集まって食事をしたりすることもあります。一般的なあいさつは「Feliz Día de Todos los Santos(諸聖人の日をお祝いください)」ですが、追悼の場では「Que descanse en paz(安らかに眠られますように)」など、穏やかで敬意を込めた表現が用いられます。
この時期には、地域ごとの秋の菓子を味わう伝統も盛んです。全国的によく知られるのは、マジパンと卵黄を使った棒状の菓子「聖人の骨(huesos de santo)」、揚げた生地にクリームなどを詰めた「死者の揚げ菓子(buñuelos de viento)」です。カタルーニャ州では松の実をまぶした「パネリェッツ(panellets)」、ガリシア州や北部では焼き栗、サツマイモ、季節の菓子を楽しみます。地域によっては「マゴスト(magosto)」と呼ばれる栗焼きの集まりも開かれます。さらに、11月1日前後にはホセ・ソリーリャの戯曲『ドン・フアン・テノーリオ』が劇場や文化施設で上演されることがあり、宗教的な追悼と文学・演劇の伝統が結びついた、スペイン独自の秋の文化行事となっています。