諸聖人の日の前夜
諸聖人の日の前夜
基本情報
歴史的背景と由来
フィリピンの「諸聖人の日の前夜(All Saints’ Day Eve)」は、毎年10月31日にあたり、11月1日の諸聖人の日(All Saints’ Day)と、11月2日の死者の日(All Souls’ Day)へ続く「ウンダス(Undas)」の始まりとして広く認識されています。ウンダスは、スペイン植民地期にカトリックの暦と墓参の習慣が根付いたことを背景に発展しました。諸聖人の日はすべての聖人をたたえる日、死者の日は亡くなった家族や信者を記憶する日であり、フィリピンでは両者が一体となった重要な追悼行事になっています。
10月31日の夜は、翌日の墓参に備えて家族が故郷へ移動し、墓地や納骨堂を掃除する時期です。近年は、欧米由来のハロウィーン文化の影響で仮装行事や子ども向けイベントも増えましたが、フィリピンの「諸聖人の日の前夜」は、商業的なハロウィーンだけでなく、家族の再会、先祖への敬意、カトリックの祈りを中心とするウンダス文化の一部として理解されます。2026年は10月31日が土曜日にあたり、週末を利用した帰省や墓参の混雑が予想されます。
伝統、習慣、お祝いの方法
代表的な習慣は、家族で墓地を訪れ、墓石を洗い、草を取り、花やろうそくを供えることです。墓前では祈りをささげ、故人のためにミサを依頼したり、ロザリオを唱えたりします。墓地で一晩を過ごす家族もあり、故人の思い出を語りながら親族同士で食事を共にします。混雑を避けるため、正式な諸聖人の日である11月1日より前の10月31日に墓参する人も多く、公共交通機関や長距離バスは帰省客で混み合います。
墓前には、白い花や故人が好んだ花、ろうそく、写真を供えるほか、家庭で用意した料理を持ち寄ることがあります。地域や家庭によって異なりますが、パン・デ・サル、米料理、麺料理、バーベキュー、菓子類、果物など、家族で分け合える食べ物がよく選ばれます。子ども向けには仮装、トリック・オア・トリート、学校や教会のハロウィーン行事が行われることもあります。一般的なあいさつは「Maligayang Undas(マリガヤン・ウンダス、よいウンダスを)」や「Nakikiramay po(ナキキラマイ・ポ、哀悼の意を表します)」で、楽しい祝祭というより、故人を敬い家族の絆を確かめる時期として過ごします。